絞り加工のご紹介
銀器製作は、板を器の形にするところから始まります。
板を器の形にする方法は大きく二つあります。一つは板を金鎚で叩いて作る鍛金技法。
もう一つは機械を使ったヘラしぼりと呼ばれる技法です。
鍛金技法は手作りのため、一つ一つの製品を製作するのにとても時間がかかるという弱点があります。
弊社はこちらの方が得意なのですが(汗)
一方、ヘラ絞りでは同じ形のものを大量に作ることができるというメリットがあります。
今回はそんなへら絞りについてご紹介します。
といっても、一言で説明するのは大変なので、まずはこちらの動画をご覧ください。
(協力:品田製作所様)
動画のように、へら絞りとは回転する型に金属の板を押し当てて形を変えてゆく手法のことです。
そのため、まず最初に銀の板を丸く切ります。
丸く切った板を回転させ、へらと呼ばれる道具で押してゆきます。へら絞りと呼ばれる所以です。
ちなみに写真のビールコップのように深い形状のものは、一度の絞りで完成形にすることはできません。浅めの型を用意し、ある程度絞ったら地金をなまし、型を削り、なた絞り、なまし、型を削りを繰り返して徐々に目的の形にしてゆきます。
ちなみに旋盤の様に回転軸を左側にする絞りを「東京絞り」
回転軸を右側にする絞りを「大阪絞り」と呼ぶそうです。
弊社の主力製品でもあるトロフィーなどは大阪絞りで絞ることが多いようです。
回転軸が右側にあることで、右手でへらを、左手で押しコップと呼ばれる道具を使うことができ、押しコップで微妙な調整ができると言われています。
ヘラ絞りのあとは挽き物加工、研磨と工程を進み、製品へとなります。挽き物加工についてはこちらでご紹介しております。
こうして製品の出来上がりです。
銀製ビールコップ(タンブラー)
閑話休題。ここで豆知識。タンブラーとは。
タンブラーとは取手のない寸胴型で底の平たい大形のコップです。
コップは飲み物用の容器全般を指します。ちなみにカップは取っ手のある温かい飲み物用のコップ、グラスは取っ手のない冷たい飲み物用のガラス製のコップをいいます。
弊社の場合はトロフィーのこともカップと呼びますが、それは関係ないですね。
優勝カップとか言いますけど、そもそも何でそう呼ぶんでしょうね。今度はそちらも調べてみたいと思います。