洋銀・洋白・ジャーマンシルバー

アンティーク製品(置物やティーポット、カトラリーなど)を見ていると「洋銀」、「NICKEL SILVER」(ニッケルシルバー)、「GERMAN SILVER」(ジャーマンシルバー)と言った刻印に出会うことがあります。

洋銀製ですよ、という意味ですが、洋銀とは一体何でしょうか?
洋銀とは、銅とニッケルと亜鉛の合金で、洋白やニッケルシルバー、又はジャーマンシルバーとも呼ばれています。

ちなみに銅と亜鉛の合金は真鍮なので、真鍮+ニッケルと覚えておくと覚えやすいかもしれませんね。
身近なところで実は500円玉にも洋銀は使用されていますが、造幣局のページには「ニッケル黄銅」と表記されています。
黄銅はまさに真鍮のことです。

気をつけなければならないことは、名前に「銀」や「シルバー」と含まれていますが、実は銀(Ag)はまったく含まれていないということです。洋銀は貴金属ではありません。

西洋の貴族などが使用していた高価な銀製カトラリーの代用品として考えられましたと言われています。
特徴は加工性・耐食性に優れており、銀に似た美しい白色の光沢があります。
また比重が8.5g前後(金属の比率により変化)と比較的重く、手に持ったときずっしりと感じる点も純銀製の代用品として使えるポイントになったのかもしれません。
カトラリーに使用される事が多いですが、フルートやトロンボーンなどの金管楽器にも使われます。

洋銀の比率は、銅は45~65%、ニッケルは6~35%、亜鉛が15~35%と、用途に応じて様々に変化して混ぜます。

弊社は銀や真鍮製品が多く、洋銀はあまり扱わないので、銀や真鍮に比べてとにかく硬くて加工が面倒だと思っていましたが、調べてみると加工しやすい部類に入るようですね。
真鍮にニッケルが混ざってるのでニッケルが硬さの原因だと思っていたのですが、wikipediaによると「ニッケルが増すほどばね性が、亜鉛が増すほど強度が、銅が増すほど展延性が上がる」とありましね。なるほど。

明治の時代に多く輸入され、 「西洋の銀ようなもの」ということで「洋銀」と呼ばれているようです。
地金としての価値はありませんがアンティークのスプーン、フォークであったり製品にデザイン性があれば値段がつく事もあります。

海外の品物で銀製品だと思って買ったら実は洋銀だったというのはよくある話ですので、よ~く刻印をチェックしてから買いましょう。
刻印についてはこちらでも紹介しております。