銀製品の修理
弊社には多くの修理の相談・依頼のメールが届きます。
製造元が修理のアフターケアを行っていない場合や、製造元の分からないアンティークのお品物などたくさんのご相談を頂きます。
まず最初に確認させて頂くことは素材です。
銀製品であれば必ずどこかに刻印がしてあります。刻印についてはこちらで解説しております。刻印が無いと、メッキ製品の場合やその他の金属製の可能性が高く修理の方法を工夫したり、修理不可能ということもあります。
銀と似た色の錫(すず)は非常に融点が低く、火を当てると溶けてしまう事もあります。
メッキ製品の場合、修理箇所だけでなく全体の全てのメッキを剥がさなくてはならず、修理の値段が元の値段より遥かに高くなってしまうことが多いです。
弊社の製品であれば素材・製造方法が分かりますので、
修理のリスクは少ないですが(壊れにくく、またメンテナンス性も考えて設計しているため)、他社様のお品物の場合作り方や構造など分からない部分が多く、修理時の破損リスクが高くなります。
銀製であれば対応出来る場合が多いですが、溶接など火を当てる修理になると、他のパーツがどのような方法で溶接されているか分からない為、見ただけでは判断が難しく着手して破損してしまう場合もございます。
溶接の際に使うハンダやロウなど、それぞれ融点が違いますので、低い融点の溶接材で製造されていた場合、火を当てた際に外れてしまう可能性があります。
アンティーク製品の場合は一度綺麗に掃除しないとハンダがまわらないこともあります。
凹み直しの場合は、素材の厚さも確認します。
凹みは反対側から叩いて直しますが、薄すぎると穴があいてしまいます。メッキ製品の場合は修理箇所だけメッキを剥がして、付け直すというわけにはいきません。
凹みにあった当て金も用意しなければなりません。
修理のご依頼の際にはそのようなリスクについてお客様にご説明致しますが、リスクを承知の上でもご依頼される方も多いです。
修理は失敗が許されず、おしゃかになる(使い物にならなくなってしまう)可能性があるので細心の注意を払って作業致しますので、通常の製造作業とは別の緊張感があり、気を使う作業になりますが、お客様の思い出の詰まった大切なお品物を破損する事なく無事に修理完了でき、お喜び頂いているのを見ていると、ホッと一安心すると共にやって良かったと嬉しくも思います。