スキットルの作り方からお手入れまで
今回はおしゃれな大人アイテム、スキットルについてご紹介します。
目次
・内藤銀器流スキットルの作り方
・スキットルの豆知識
・お手入れの仕方
・修理など
〇銀製スキットルの作り方
写真のスキットルは加工のしやすさと強度を考慮し、
シルバー950(※銀の種類についてはこちらで解説)を使用しました。
写真の型を用い、950の板をなましては打ってを繰り返し、だいたいの形にします。はみ出した部分を鋏で切ります。
お菓子のモナカの用にあわせるのですが、その際隙間ができては水筒になりませんので、平らになるように丁寧に丁寧にヤスリですっていきます。
本体に金槌で槌目模様を打ちながら木槌でならします。口元が薄くなり切れてしまわないように慎重にならします。
本体とは別に口元用のネジを用意します。
その後本体を2分ロウでロウ付け、ネジを5分ロウでロウ付けします。
ちなみにフタは二重構造にしました。フタは絞り加工です。
映画などの影響で、スキットルは直接口をつけて飲むイメージがありますが、雑菌の繁殖やお手入れのことを考え外蓋に注いで飲むスタイルを取り入れました。
ピカピカに磨いて完成です。
現在日本での銀製スキットルの製造元は少なくなっています(アピール)
〇そもそもスキットルとは?
スキットルとはウィスキーなどアルコール度数の高い蒸留酒を入れる携帯用の水筒です。一般的によく見るスキットルがあのような形をしているのはジーパンなどの後ろポケットに入れるからです。英語ではヒップフラスコと呼んだりするようです。
スキットルに入れるお酒のイメージはウイスキー、ブランデー、ウォッカなどではないでしょうか。
実は他にもたくさんあるんです。泡盛、焼酎、ジン、スピリタス、テキーラ、カルヴァドス、コニャック、ラム酒も蒸留酒です。
他にも挙げればたくさんあります。スキットルは元々ヨーロッパのものですから洋酒を入れるものとしてのイメージが強いですが泡盛、焼酎を入れて楽しまれるのも面白いですね。
ちなみに醸造酒を入れると金属に反応して風味が変わってしまう可能性が高いそうです。日本酒やワイン、ビールがそれにあたります。勇気のある方はもし実験したら結果を教えてください(笑)
〇スキットルの素材
昔、スキットルは銀や錫といった高級な素材で作られていました。銀は硫黄化合物やヒ素化合物などに触れると化学変化による変色でいち早く異変を察知できる事から古来より上流階の食器などに使用されてきました。
しかし現代ではキャンプなどで使用される事も多く、ステンレスやチタンで作られているものが一般的になりお手頃な価格で手に入るものも多くあります。
わたくしどもとしてはもちろん銀製を推したいところですが、その他の素材の良いところもご紹介。
まずステンレスです。鉄にクロムやニッケルを含む合金鋼で水筒などにもよく使われており、錆びにくく丈夫でお手入れもしやすい事に加え価格帯も安価な事が多いが、金属特有の匂いがお酒に移りやすく、味にこだわる方には少し不向きかもしれません。
同じように丈夫で錆びにくいと言われているのがチタンです。鉄、銅、アルミなどの他の金属と比べ上位互換のような金属と言われており、とても優れている金属です医療器具にも使われるほど安全性が高い事も有名ですね。
熱にも強く、軽くて丈夫、また金属臭もしないためキャンプにはもってこいですが、高価な素材であるというデメリットもあります。
強度が高いので溶接やプレス成形、切削といった加工が難しいのです。
ピューター・錫は日本を始め、世界中で酒器としても使われています。美しく希少なため縁起がよく、贈答品としても喜ばれる素材です。
高いイオン効果によりお酒の不純物を吸収し浄化してくれるのでお酒の味が柔らかくまろやかになるそうです。
ただ、柔らかい素材なので落としたりぶつけたりするとすぐ凹んでしまいますし熱伝導率が高いため火や熱には弱いといった点もあります。その分加工はしやすいですが、職人さんが一つ一つ手作業で製作する事が多く価格も高くなります。
〇お手入れの仕方
ところでスキットルを見ていると、
あれっ?これどう洗うんだろう?と思うことはありませんか?
まず第一に、度数の高い蒸留酒用の水筒ですので、中に入れる物がアルコール度数が35度以上あれば、常温でもカビの心配はありませんが、保存容器ではありません、あくまでも「一時的な携行用」ですので入れっぱなしというのは避けたほうがいいでしょう。
洗ってからよく乾かし、アルコール除菌スプレーなどをかけましょう。
それでも汚れが気になる場合は約1Lの水に小さじ一杯程度の漂白剤を入れ20分程放置しお湯でよくすすぎましょう。
匂いが気になる場合はお湯とホワイトビネガーを1:1に混ぜたものをスキットルに半分程入れて振るを3~4回繰り返し、最後にお湯ですすぐと良いです。
どうしても中の汚れが落ちない場合は砕いた卵の殻を入れ力一杯振ってみましょう。これも最後はお湯ですすぎましょう。
〇修理や磨き直しなど
弊社では過去にスキットルの修理などを行ったことがございます。(お客様の声)
もしお困りでしたらお気軽にご相談ください。
銀製のスキットルでしたらお力になれると思います。
2021年10月8日追記:
銀製ミニスキットルの製造・販売を開始しました。
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