銀の種類や間違いやすいもの
突然ですが、「銀」と言われて何を思い浮かべますか?
指輪やネックレスなどのアクセサリーや、ティーポットやスプーンなどの食器ではないでしょうか?
もし「金」では?と言われればすぐに「延べ棒」を想像することが多いと思いますが銀の場合は既に製品になっているものを想像しがちだと思います。
では製品になる前はどんな形をしているのでしょう?
わたくしも鉱山から採掘された状態を見たことはありませんが、精製された銀はインゴットという塊や笹吹(ささぶき)という粒状の状態で流通しております。
インゴット(クリックして拡大)
笹吹(クリックして拡大)
インゴットには純度が99.99%(通称フォーナイン)と99.9%のスリーナインがありますが、わたくしどもはフォーナインのものを「純銀」、「サラ」と呼んでいます。(余談ですが純金は「ヤキ」と呼んでいます)
これを溶かして加工しますが、そのときに銅など別の金属を混ぜることで強度や耐久性を高めます。
銀は金属の中でも加工しやすい素材ですが、純銀は特に柔らかく、爪で押した程度でも傷がついてしまうほどです。
シルバーアクセサリーなど見ているとよく「925」という表記を見かけると思いますが、それは銀の含有率を表しており、純銀を1000%として、925%が銀で、残りは銅が主です。
他にも950%(ブリタニアと呼ばれたりします)、970%などもあります。
弊社で扱っている銀カップなどはほぼ970で製造しております。
また、決まりはないようですが、一般にスターリングシルバーと呼ばれるものは925のことを指す場合が多いようです。
数字は多いほど純度が高くなりますが、純度が高いほど柔らかくなりますので、アクセサリーやスプーンをはじめとする食器など
強度が必要なものは925がよく用いられます。
おわん型やコップ状のものなど曲げ加工が必要なものは970などを使用します。
ちなみに余談ですが職人の世界では925を7部落ち、950を5部落ち、970を3部落ちと呼んだりします。
また注意しなくてはならないものとして、「洋白」「洋白銀」「洋銀」と呼ばれるものです。英語では「ニッケルシルバー」や「ジャーマンシルバー」と呼ばれ、どちらも「銀」や「シルバー」という名称がついていますが、銅やニッケル、亜鉛などの合金で、実は銀は一切含まれていません。
また、銀に似た色の金属ではピューター(白目)と呼ばれるものがあり、スズを主成分とするイギリスで昔から親しまれています。日本も錫(すず)の食器が古くからあり、こちらも銀に似た白い金属です。
どれも光沢などでなんとなくパッと見で見分けることもできますが、もっと簡単な見分け方は「刻印」を見ることです。それはこちらでご紹介します。