アラシ・梨地・ホーニング

鏡面と荒らし
梨地仕上げとは金属の表面に細かーな凹凸をつくることでザラザラとした梨の皮のような質感に仕上げる表面処理です。手触りもザラザラとします。
荒らし、ぼかし、ホーニング、つや消し、マット仕上げなど、色々な言い方があります。それぞれニュアンスは違いますが概ね同じ意味で用いられます。

金剛砂と呼ばれる砂を高いところから振りかけたり、ガラスの粒子をサンドブラストなどで吹き付けたりすることで表面を荒らします。
業者さんや職人さんによって鉄や別の金属、別の種類の砂など、色々な素材を工夫して荒らしの目を変化させています。

これは梨地仕上げ用の砂ですが、金剛砂ではないそうです。ある職人さん譲って頂いたものでその職人さんが独自に配合したもので成分は謎です(汗)
高いところから当てます。


サンドブラストを使う場合。

コンプレッサーでガラスの粒子を吹き付けます。

ガラスの粒子です。様々なサイズの粒子があり、目的に合わせて選びます。

傷口や目などに入らないように気を付けます。

荒らす際の粒子の大きさや材質を変える事によってザラザラした質感の細かさを変えることができます。
梨地仕上げは鏡面仕上げと比べると、落ち着いた見た目になります。弊社の品物では彫刻した図柄に強弱をつける為に目立たせたい部分を磨き仕上げで残し、その周りの部分を粗すことで、図柄が際立つようにしています。
また、見た目の表現だけでなく、滑りにくくする為や品物を使用した際の扱い傷を目立たなくさせる為に使われることもあります。電車の手すりなども、表面を荒らしてあるものがありますよね。

鏡面より傷が目立たない利点はありますが、
勘違いされがちなのは、傷を隠すために荒らすわけではありません。

キズを付けた素材を荒らしても、

わかりづらいかもしれませんが、傷は消えません。
荒らす際は一度ピカピカに鏡面仕上げした上で荒らします。

荒らす際に気を付ける点は素材の反りです。上の写真で、荒らす前と後で板が反っているのがおわかりいただけますでしょうか?
砂やサンドブラストを当てると、当てた面が盛り上がってきます。イメージでは反対側に反りそうですが、当てている表面が粒子によって叩かれ伸びるため、手前に沿ってきます。
反らさない様にするためには、裏側から当てたり、当てる力を調整します。
圧の調節は落とす高さや噴出口からの距離や空気圧の力で行います。また品物を少しに斜めにして荒らすことによって品物にかかる負荷を逃がすことができます。

梨地仕上げの上からメッキをかける場合は強めに荒らさないと、せっかくのつや消しが光ってしまうので注意が必要です。
また、つや消しがくすんで見えてきたら金剛砂は洗ってあげると良いかもしれません。

マット仕上げが施され、メッキなどを施されていない無垢の素材のアクセサリーなどは、素手で触れるとその部分だけ変色してしまうことがあり、鏡面より除去が大変なのでなるべく素手で触れないようにしましょう。