透かし・糸ノコの使い方

イトノコ
『透かし』とは、糸ノコなどで模様に見えるように切り取る制作方法で
「引き回し」とも言います。
図工の授業などで使った事がある方もいるのではないでしょうか?
授業では木材だったかもしれませんが、金属の地金も同じように
糸ノコで切り回していきます。
私は授業では糸ノコは使わず、電動糸ノコを使いました。
弊社では大きなものを切るときはバンドソーという機械を用いますが、
細かい模様な小さな品物の場合は糸ノコを使って手動で透かします。

弊社の製品では小さいサイズの銀カップ(トロフィー)の
取っ手(※手や耳と呼びます)は板から透かします。
また、弊社の香炉の蓋はカゴメ模様に透かしてあります。


銀のトロフィー
銀の香炉

銀の香炉のカゴメ模様のフタ
工程としては糸ノコで透かす部分に予め細いドリルで穴を開け、
穴をを開けた部分に糸ノコの刃を通し透かしていきます。
最後に切断面をヤスリ等で形を整えて完成です。
ヤスリが入らないような細かい隙間はヤスリがけがいらないくらい
糸ノコで綺麗に透かす必要があるので、
ケガキ線に沿って正確に透かす技術が必要です。
又、糸ノコは曲線を透かすより直線を透かす方が難しいとされています。
曲線は多少ケガキ線よりずれてしまってもヤスリで修正がききますが直線はそうはいきません。糸ノコを上達したい方は直線を綺麗にまっすぐ透かせるように練習してみるといいかもしれませんね。
イトノコの刃の種類
糸ノコの刃には種類があり、細い方から
・・・・4/0、3/0、2/0、0、1、2、3・・・・・・
という風に番数があります。
4/0や/3/0はゼロヨン、ゼロサン、0はゼロ号などと呼んでます。

一般に厚い地金には太い刃を、薄い地金には細い刃を使用します。
細い刃ほど折れやすいですが、太い刃を薄い地金に使用すると、
引っかかったときに引っ張られてしまい、
地金が曲がってしまうことがあります。
刃の張り具合も折れやすさ、切りやすさに直結します。
ねこマドラー製作風景・透かし
透かすときは、
握る指は中指、薬指、小指で、
人差し指は軽く握るか添える程度で、
刃を垂直に下に引きます。ノコギリと同じように
引くときに力を入れ、上げるときは力を抜き、
シュッシュッシュッシュッとリズミカルに透かしましょう。
そのとき刃が左右にふらつかないように気を付けましょう。
鋸刃が折れてしまいます。
厚い板の場合はキチンと垂直に引かないとコバ(切断面)が
斜めになってしまいます。

そして重要なのは地金を押さえる方の手です。
抑えが弱いと地金があっちこっちに遊んでしまい、切断面も凸凹になり、
刃も折れやすくなります。
しっかり抑えましょう。
その際、鋸刃の進行方向に手を添えないようにしましょう。
刃が折れたときに勢いで刺さることがあるためです。地味に痛いです。

カーブなどは、糸ノコを曲げるのではなく、
地金を動かすことで曲線を描きましょう。

鋸刃が進まなくなってきたら、油を付けたり、
ロウソクを軽く塗ったりすると滑りが良くなります。
刃はなるべく大きなストロークで全体を使うと良いです。

薄い板で細かく複雑な模様を透かすときは、透かす手順を
良く練ってから透かしましょう。力のかかり具合で簡単に
曲がってしまうので綺麗に透かしたいときはどこから透かすかの順番の考え方も技の一つとなっていきます。

まとめると、糸ノコで透かす際のポイントは、
〇鋸刃の張り具合
〇糸ノコの引き方
〇地金の押さえ方
〇透かす手順となります。
うまくいかないときはこの辺りを見直してみましょう。