金槌カンカン
金槌はトンカチと呼ばれたり、
一般的に釘を打ったりするのに使うイメージかと思いますが、
弊社はじめ金属加工の世界では多様な使い方をします。
そのほんの一部をご紹介できればと思います。
仕事で使う金槌は頭を加工し様々な役割を持たせた物が多いです。
それ専用に頭の形を変えてしまうことも日常茶飯事です。
大きく分けると、
「絞(しぼ)り鎚」
「均(なら)し鎚」
「荒らし鎚」
と言われる物があります。
まずは「絞り鎚」ですが金属の板から品物を作る際などに、
叩いて板の形を変えるために使います。
主に「鍛金(たんきん)」と呼ばれる技法で使われ、
頭の角をおとして少し丸くしています。
「均し鎚」は金槌の頭をピカピカの鏡面にしたもので、
叩いた面も鏡面に光ります。
金槌の打つ面が汚れたり傷が付いていたりすると、
品物にも同じ跡がついてしまうためです。
粗めに叩いた部位を綺麗に均すために使います。
金鎚をピカピカにするには・・・
①砥石を机に置いて金鎚の面が砥石の面と平行になる角度で研ぎます。
②金鎚の面が平らになり、傷などもなくなったら、
砥石と同じ様に紙やすりを置いて①と同じ要領で擦っていきます。
③段々と紙やすりを細かい目の物に変えていき、
最後は金属磨きで鏡面にして完成です!以上、鏡面にする方法でした。
「荒らし鎚」は文字通り叩いた面を荒らすために使います。
荒らし鎚の模様の付け方は様々で、石に打ち付けて
わざと傷を付けたり、ドリルやタガネで模様を彫ったりもします。
うちの品物にもある岩石仕上げ等はこの荒らし鎚で仕上げたものです。
ところで、「つち」には木ヘンの「槌」と金ヘンの「鎚」があります。
実は木槌はキヘン、金鎚は金ヘンの方を使います。
が、わざわざあまり区別されていないようですね。
今回も特別意識していない部分は読みやすいように金槌と書いています。
じゃあ木製でも金属製でもないピコピコハンマーはどっちやねん、
ってなりますからね。
ここまででホームセンターで売っているような金槌との違いは
伝わったかと思います。種類というよりは使い方の違いのように
なるのでしょうか。
より違いがわかりやすいように、一般的な市販の金槌の種類をご紹介します。
〇両口ハンマー(両口玄能)
打撃部分の片側が平らで反対側がゆるい曲面になっています。
釘などを打つのに向いています。
〇片手ハンマー
打撃部分の片側が平らで反対側が球状になっています。
平面は釘や鋲を打つのに使用し球状部分は鉄板などの曲げ加工など
に向いています。
〇両口ハンマー(八角玄能)
打撃部分の断面が八角形になっています。
平面は釘などを打つのに使用します。
狭く打撃面が振れない時に側面部分で打ちます。
〇片口ハンマー(唐紙鎚)
打撃部分の片側が平らで反対側が尖っていて
小さな鋲などを打ったり狭い場所の釘打ちなどに向いています。
以上のように、種類のベクトルが違うの伝わりましたでしょうか。
最後に、金鎚の使い方を槌目模様を例にご紹介します。
金鎚を使うときは、脇をしめ、手首を使って打ちます。
常に同じ強さで打てるように、金槌の重さを利用します。
均等な力で打たないと槌目模様が小さくなってしまったり
大きくなってしまったりします。その方が良いときもありますが、
同じ大きさで打てる人がバラバラの大きさに打ち分けるから
カッコいいのです。
また、雪平鍋のように並べて打つ方法と、写真のようにバラバラに
打つ打ち方があります。
バラバラに打つといっても適当にバシバシ打っているわけではなく、
どちらも狙ったところに打つ技術が必要です。
そのために脇をしめます。
何をするにしても、脇があいていると脇が甘いと言われてしまいますよね。
ご参考になればと思います。
以上、金槌のご紹介でした。