真鍮あれこれ
真鍮は黄銅(おうどう・こうどう)とも言い、銅と亜鉛の合金です。
黄色い光沢があるため、貧者のゴールドとも言われたりします。
実際磨くと綺麗ですし、イブシ加工をしてもカッコ良いです。
日本で真鍮が使われるようになったのは江戸時代中期以降と言われております。
真鍮には様々な種類があります。
銀にもその含有率ごとに925、950、970などと種類があるように、
真鍮にも銅と亜鉛の含有率の違いや、更にそこに他の金属を混ぜることで
色や性質が様々に変化します。
弊社では主に3種類の真鍮を使い分けております。
左から、「セパ」、「コーペル」、「カイサク」と呼んでいます。
セパは黄銅1種と黄銅2種があり、銅が65%~70%、残りが亜鉛です。
特徴は黄色みが強く、粘りがあり、曲げ加工や絞り加工に向いています。
逆に糸鋸でのすかしやヤスリでの削りには向いていません。
どうしても切りたいときは裏に両面テープで印刷用紙を貼って
バンドソーなどで切ると、気持ち切りやすいように感じます。
(筆者だけかも?)
ちなみに切削に向いている板が右のカイサクです。
漢字で書くと「快削」で、文字通りサクサク切れます。
銅の含有率は60%前後で、亜鉛以外に鉛が少し混ざっています。
その中間くらいの性質の板が真ん中のコーペルです。
銅の含有率は60%くらいです。
その他にも含有率や合金の違いで赤みのある丹銅と呼ばれるもの
もあります。
その他わかりやすい合金の例として、硬貨を挙げておきます。
造幣局のページから下記に引用します。
500円玉:ニッケル黄銅(銅720・亜鉛200・ニッケル80)
100円玉:白銅(銅750・ニッケル250)
50円玉:白銅(銅750・ニッケル250)
10円玉:青銅(銅950・亜鉛40~30・すず10~20)
5円玉:黄銅(銅600~700・亜鉛400~300)
1円玉:アルミニウム(純アルミニウム)
ちなみに身近な真鍮の例としてコンセントがあります。
真鍮は合金の中でも電気伝導性が銀の次に高いので、
コンセントなどに使われています。
他にも金管楽器などにも使われていますね。
ところで、真鍮には毒性がある、というのを聞いたことがありませんか?
真鍮のサビである緑青(ろくしょう)は
昭和の頃までは猛毒であると考えらていました。
銅の精錬の場で中毒症状が多く見られましたのが原因と考えられますが、
実際には銅の鉱物に多く含まれるヒ素が原因だとわかってきました。
研究の結果緑青は無害に等しいと認定が出されています。
ただし、有毒性はありませんがアレルギーには気を付けないとなりません。
汗や皮脂に溶け、溶けだした物質が体内に入り込むことで
免疫が過剰に反応し痒くなったりかぶれたりなどの異常が現れます。
真鍮は原価も安く大量生産可能な金属の為、
身近にたくさんのものがあふれています。
アクセサリーやベルトのバックルなど皮膚に触れやすい製品がたくさんあるので、あれ?と思ったら皮膚に触れないようにするようにしましょう。
アレルギーについてはこちらのサイトなどで掲載されております。
弊社は銀製品をメインに製作しておりますが、トロフィーやカップなど
は真鍮製品も製造しております。
真鍮は銀に比べとても安価なため、銀カップより安く作ることが
できますが、メンテナンス性に欠けるため、
長期間使用する場合は初期費用が高価でもトータルでかかる費用
が抑えられる銀製をおススメしております。