香炉とは

弊社はゴルフなどのスポーツ大会で使われる銀カップをメインに製造してきた経緯があり、銀カップの製造が一番多いですが、仏具も手掛けており、その一環として香炉を作ったこともございます。

香炉とは、香料を加熱して、香りを発散させるために使う器のことをさします。仏具では、灯明、花瓶と合わせて、三具足、五具足と言われる重要なものです。お葬式のときのお焼香で使われているものがイメージしやすいです。

ここで弊社の銀製香炉『竹』を紹介します。
香炉『竹』
この香炉は仏具としての香炉ではなく、香りを楽しむ(聞く)ための香炉として製作しました。
火屋の部分は竹を編んだようなカゴメ模様になっていて銀製品のもつ「洋」のイメージと、竹のもつ「和」のイメージが融合した品となっております。
竹籠のように、竹のように細い銀の板で編んで作ることもありますが、これは彫刻で籠を表現しております。
是非写真をクリックして拡大して見て頂きたい!
香炉『竹』
この火屋は最初に何も模様の無い蓋を絞り、一度磨いた後竹のカゴメ模様を彫刻します。
その後香りが抜けるようにカゴメの目の部分に全て穴をあけ糸鋸で透かし、ヤスリがけしてきれいに仕上げています。手間はかかりますがその手間の分、美しい仕上がりとなっています。
カゴメ模様の作り方

香炉で香りを楽しむことを「お香を聞く」、
「聞香(もんこう)」と言うそうです。

インドでは一年を通して熱く、スパイスも豊富なため臭気を防ぐためにお香を焚き体にまとうという風習があるそうです。仏様を供養する方法の一つとなったそうです。

そんなインドの文化が仏教に取り入れられ、飛鳥時代頃に日本に伝来し仏教儀礼の場面で使用されました。

香炉に使われる香木は奈良時代には仏前を浄め邪気を払う供香用に使われていました。

平安時代には貴族により仏教とは別に趣味として使われるようになりました。香料をブレンドし着物などに香を焚きしめ自分だけの香りを楽しんでいたそうです。

江戸時代に香材の使用が広まり庶民にも使われるようになり、お線香の製造が始まったそうです。

仏具用の香炉には、お焼香用とお線香を立て祈りをささげる2種類の役割があり、香炉の種類は主に以下になります。

・火舎香炉
 主に浄土真宗系で使われる香炉でお焼香用になります。

・土香炉
 浄土真宗で使われる香炉でお線香用です。
 線香は立てるのが一般的ですが折って寝かせて焚きます。

・前香炉
 浄土真宗以外の宗派で使われ最もベーシックで
 お線香を立てるときに使われる香炉です。

・長香炉
 お線香をそのまま縦に寝かせて使う香炉です。

・常香炉
 お寺で参拝者がお線香をあげるための大きな香炉です。

形状は様々で机に置くものを一般的に置香炉、僧侶が保持する柄の付いた香炉を柄香炉と言います。

また、仏具の香炉とは違いますが茶香炉というものもございます。茶香炉はアロマテラピーに使われるポットに似ています。お茶屋さんの前を通るとお茶を炒った良い香りがすることがあると思いますが、分かりやすく言うとその香りが楽しむことができる香炉です。

茶香炉で使用する際、茶葉は焦げやすいので茎茶がお薦めです。専用のロウソク(火力が一定になるように作られている)で加熱するといい香りがします。焦げないように時々まぜてあげるとその後はなんとあの香ばしいほうじ茶になります!香りを楽しんだ後でお茶を飲めるという一石二鳥です!!

プラスアルファ、仏具の香炉のお手入れ方法をご紹介。
日頃からこまめにお手入れをしておく事で気持ちよくお線香が立てられます。お手入れを怠るとお線香が立てにくくなったり燃え残りが気になったりと機能面にも問題が出てきますので、まずはお線香の燃え残りを取り除きます。燃え残りは見た目にもあまり美しくありません。香炉の灰を静かに返しながらピンセットなどで丁寧に取り除いていきます。

湿気を吸って固くなったり、塊になっていたら茶こしなどで灰をふるいます。ふるって塊を取り除くと、灰もサラサラになります。
最後に香炉を軽くたたき、灰の空気を抜きます。こまめに灰のお手入れをしていても、すぐに固まったり塊が出来る場合は、灰が古くなっている可能性があります。そんなときは素直に仏具屋さんに交換して頂くと良いです。弊社は香炉は製造できますが、灰は交換できませんので(笑)

あまり馴染みのない香炉ですが、実はとても深い世界なのです。

参考にさせて頂いたサイト